山登りには、さまざまな「コツ」や「常識」があります。また、みんなが気持ちよく登るための「マナー」もあります。富士山という日本一の山に登るのですから、こうした常識を一通り頭に入れておくといいでしょう。
でも、難しいことは、なんにもありません!
プランニングのコツ
まずは、登山計画の立て方、「プランニング」のコツをご紹介しましょう。
できるだけ平日に訪れる!
富士山の週末はとにかく混雑します。できるだけ平日に行きましょう。
御来光は山小屋の前で見る!
山頂の御来光を見よう! というツアーやガイドが多いですが、結構大変です。
山頂で夜明けを迎えるには、その場合は山小屋を午前0時頃出発して夜間登山をしなければならず、身体の負担が重いです。
それよりは、山小屋ではゆっくり日の出まで休み、山小屋で御来光を見てから出発するスケジュールにしましょう。
基本は「早起き」、数日前から早起きのクセを
山登りでは、「早起き」が基本です。富士山も例外ではありません。2日目は早朝に起床して朝早いうちに山頂に立つ、というのが理想的なスケジュール。そして、午後3時までには登山口に戻ります。
午後3時に登山口に戻るスケジュールなら、夜遅くならないうちに東京に帰れますし、大阪や名古屋などにも、その日のうちに帰れます。
しかし、ふだん夜更かししている人が、急に早起きするのはきついもの。いきなり「明日は午前4時に起きる!」というのはつらいですから、せめて数日前からは毎朝5時頃に起きる練習をしておくといいでしょう。
登山当日のコツ
登山当日の情報収集や、歩き方のコツをご紹介!
天気予報はマメにチェック
山の天気は変わりやすいものですが、富士山の天気はとくに変わりやすく、予報も難しいようです。ですから、天気予報は数日前から出発直前までこまめにチェックしておきましょう。
雨の予報の場合は、その備えをしっかりと。また、あまりに荒天が予想される場合はツアーをキャンセルしてしまうのも手かも。荒天での登山はつらいです。せっかくの富士山ですから、気持ちのいい好天の日に登りたいものです。
ただ、少しくらいの雨なら、行ってみましょう。下界は雨でも山頂は晴れている場合も多いです。
基本はゆっくり歩く
山歩きのコツは急がないこと。とくに富士山は標高が高く高山病になりやすいので、とにかくゆっくり歩きましょう。
岩場も多く、歩きにくい場所は両手を使って注意深く。そうすることで、事故を防げますし、高山病にもかかりにくくなります。
休憩もまめに挟みましょう。ツアーの場合は、ガイドさんがゆっくりとしたペースを作ってくれるでしょう。
水分はマメにとる
高山病対策としては、水をいっぱい飲むことも大事です。なぜなら、水には酸素が含まれているからです。
登山は汗を大量にかきますし、水分補給の意味でも飲み物をマメにとるのは大事です。
飲むときは、1度に多くの量を摂るのではなく、休憩ごとに、ひと口かふた口にしておきます。のどが渇いたと思ったら、歩きながら、こまめに補給します。ミネラルウォーターでもいいですが、スポーツドリンクのほうが適しています。
登山においては、スポーツドリンクは薄める必要はありません。
甘い物と塩分の摂取も忘れずに
行動食として、甘いものや塩分のあるものを持っていきましょう。チョコレート、キャラメル、あんぱんなどです。
こうした甘い物は、疲労軽減と体力回復に役立ちます。また、汗をかくと塩分が失われるので、塩分の含まれたアメや羊羹なども持っていきましょう。
トイレ計画もしっかりと
富士山の登山路はトイレ施設が充実しています。一回200円(山頂は300円)の使用料がかかりますが、トイレがなくて困る、というケースはあまりありません。
ただし、下山路ではトイレの数が激減します。したがって、歩きながら、コースタイムとトイレの位置をしっかり把握しておきましょう。
ワンランク上の登山をめざそう
よく眠れる山小屋は? 難路を歩くには? 快適で楽しいワンランク上の登山をするためのコツをご紹介。
山小屋は八合目に泊まる!
七合目の山小屋のほうが快適な場合が多いですが、初日に八合目まで行っておくと、二日目の負担が違いますし、登頂確率も上がります。
山小屋では眠れなくても横になっていよう!
狭苦しい山小屋で熟睡できる人は、ほとんどいません。眠れない一晩になるのは覚悟して、それでも横になっていましょう。8時間も横になっていれば、十分な休憩になります。
急坂と岩場の登り方
六合目以降は、かなり急な坂や岩場が続きます。そういう場所では、とくにゆっくり歩くように心がけます。急いで登るとすぐに息が切れますし、息切れは高山病のもとになります。
なるべく歩幅を小さくして、太股の上げ下げを減らします。急な場所では手を使ったりもしましょう。
砂地の下り方
富士山で大変なのは、実は下山の砂地です。下山路は砂が多い道を下りていきますが、普通に歩くと足を取られてうまく進めません。つま先を砂に突っ込む気持ちで歩くと、滑るように下ることができます。
マナーを守って気持ちよく
山登りにはマナーがあります。ゴミを捨てない、植物を採らない、道以外の場所へ踏み込まない、タバコのポイ捨てをしない、といった基本的なルールは、必ず守ってください。
また、登山者同士がすれ違うときは、登ってくる登山者優先です。道が狭いときは、下りの登山者が道を譲ることが基本です。後ろに早く歩きたい人がいたら道を譲る、というのもマナー。
追い抜きたいときは、「抜きます」などと一声かけましょう。そうすることで、お互いが気持ちよく歩けます。
登山者がすれ違うときは、お互いに「こんにちは」などと軽く挨拶するのもマナー。でも、富士山の場合は、あまりに人が多すぎて、「いちいち挨拶してられません!」という声も聞きます。なので、「挨拶マナー」は、ほどほどでよいでしょう。
→「富士山に女子一人で登る方法【その8予算編】」に続きます。